「コンピテンシー」のワンポイント解説(1)
1.はじまり
私が「コンピテンシー」と云う言葉を知ったのは1997年8月の日経の記事でした。それは当時クライスラーの会長のアイアコッカが「コンピテンシー」によって、クライスラーの危機を救ったという内容でした。
その魔法のような言葉「コンピテンシー」が私も気になりましたが、今でこそ「コンピテンシー」の解説書は書店に行けば数多く並んでいても、当時はまだほとんど無い状態でした。私は洋書を取り寄せたり、英語版のコンピテンシー・カードを購入したりして、資料を集め、これまでの評価基準と何が違い、本当に役に立つのか、研究をしたりしていました。
それから10年余り経って、わが国の大手企業等の評価基準にコンピテンシーは普通に使われています。
多くの文献を見ると、コンピテンシーについて次のようなことが載っています。
欧米、特に米国と英国では歴史的に一つの仕事に一つの賃金が貼りつく職務給型の賃金であった為、次のような問題が出て来ていました。
- 同じ職務に就いても、人によってそのパフォーマンスには随分差がある。
- 特にホワイトカラーの職務においてはそれが顕著である。
そのような事情から職務+αとしての「コンピテンシー」という評価要件が出て来たと言われています。
この「+α」は職務ごとの「パフォーマンスの差」につながる要件ですから、能力や行動に焦点が当てられたのは当然と言えます。
実際、コンピテンシー以前の英国で使われていた「コンピテンス」を見ると、ほとんど日本の「職能」と同じに見えます。その「コンピテンス」が米国へ渡り、より成果に結びつく行動特性として「コンピテンシー」になったと言われています。
(つづく)